初めての手術室見学 〜富山大学附属病院にてDIEPフラップ乳房再建術〜
昨日、富山大学附属病院にて、乳房再建術「DIEPフラップ法」の手術を見学させていただく貴重な機会を頂戴しました。私にとっては人生で初めて手術室に足を踏み入れるという、大きな節目の日でもありました。朝から緊張と期待が入り混じり、胸の奥がずっとドキドキしていたのを今でもはっきりと覚えています。
普段、私たちはエピテーゼ製作やサージカルガイドの開発を通して医療に携わっていますが、手術室”という最前線を見る機会は決して多くありません。だからこそ今回の見学は、大きな学びと気づきの連続でした。

手術室に入るまでの準備と緊張感
見学にあたって、まずは専用の更衣室にて病院スタッフの方から入室手順をご説明いただきました。手術室に入る前の着替えは、想像以上に細かいルールがあり、衛生管理の徹底ぶりに改めて驚かされました。
キャップ・マスク・ガウンを着用し、手指消毒を済ませ、靴も専用のものに履き替えます。いつもの仕事着である白衣とはまったく違う感覚で、「これから手術の現場に入るんだ」という実感がわき、背筋が自然と伸びました。
自動ドアが開き、明るく清潔な手術室の空気が流れ込んできた瞬間、張り詰めた緊張感と独特の静けさに一気に飲み込まれました。そこはまさに、医療の最前線。私たちの日常とは全く異なる世界が広がっていました。
DIEPフラップ法とは? 〜高度で繊細な乳房再建術〜
今回見学させていただいた手術は、乳がん手術後の乳房再建として用いられる「DIEP(ディープ)フラップ法」。患者様のお腹の皮膚や脂肪を採取し、血管を温存したまま乳房の位置に移植するという、非常に高度で時間のかかる再建術です。
血管を丁寧に取り扱いながら移植を行うため、顕微鏡下での繊細な操作が求められます。熟練した形成外科医でも高い集中力と技術力が必要となる難易度の高い手術であり、今回見学できたこと自体がとても貴重な経験でした。
「患者様の新しい生活をつくる手術」とも言われるDIEPフラップ法は、単に形を戻すだけではなく、その後の人生に大きな希望を与える治療法であることを、現場で強く感じました。
圧倒された手技とチーム連携のすごさ
見学中、最も強い衝撃を受けたのは、医療チームの連携と圧巻の技術力でした。執刀医を中心に、助手の先生、看護師、麻酔科医、臨床工学技士など、複数の専門職が一つの目的に向けて動いており、その息の合ったチームワークはまさに芸術と言えるほどでした。
言葉は最小限。しかし、視線と動きだけで意思が通じ合っているような“無言の連携”。その中で淡々と、しかし確実に手術が進んでいく様子は、見ている側の私にも深い感動を与えました。
数ミリ単位の世界で繰り広げられる操作は、技術だけでなく経験と集中力、そして患者様への強い想いがなければ成り立たないものだと実感しました。
サージカルガイド製作への大きな気づき
今回の見学は、私自身が携わっている「サージカルガイド」の製作に対して大きな学びをもたらしました。普段、私たちは患者様のCTデータや骨格情報をもとにガイド製作を行っていますが、実際の手術現場でどのように使われているのか、どんなタイミングで必要とされるのかを直接目にすることで、見えてくる課題や改善点が多くありました。
例えば、
- 術中の視野を妨げない形状設計
- 外科医がストレスなく扱える厚み・硬さ
- 術中に“どの角度から見ても分かりやすい”デザイン
- 消毒や滅菌を考慮した素材選び
など、机の上だけでは理解しづらかった要素の一つひとつが「これだ」と腑に落ちる瞬間がありました。
“使う人の立場に立つ”という言葉は簡単ですが、実際に現場に立ってみることで、その意味の重さが全く違って感じられます。今回の経験は、今後の製作に大きく活かせるものであり、より実用性の高い製品づくりを目指すための大きな糧になりました。
最後に 〜貴重な経験への感謝〜
今回の手術見学を通して、医療の現場で働く方々のプロフェッショナリズムと責任の重さを改めて実感しました。目の前で命と向き合う姿勢、患者様に寄り添う優しさ、そして多職種が一体となって治療を支える力は、私にとって大きな刺激であり学びでした。
このような機会をくださった先生方、そして手術室で日々支えておられる医療従事者の皆様に、心より感謝申し上げます。
ものづくりに携わる者として、「現場を知ること」「使う人の声を聴くこと」の大切さを胸に、これからもエピテーゼ・サージカルガイドの可能性を広げてまいります。
今後も医療の現場と深くつながりながら“患者様の未来を支えるものづくり”を続けていきたいと思います。


コメント