
週末に、金沢工業大学で開催された「医工連携フォーラム」に参加してきました。
医療と工学が連携し、新しい価値を生み出していく取り組みは、いま医療現場の課題解決に欠かせない流れになっています。
私は日々、エピテーゼ(人工乳房・人工耳など)やサージカルガイドの製作に携わっています。
医療の現場で必要とされるものを、材料・設計・加工の視点から形にする仕事をしていると、「医工連携」という言葉は決して遠い世界の話ではありません。
今回のフォーラムは、研究の“成果”だけでなく、そこに至るまでの試行錯誤や連携のリアルまで聞ける貴重な機会でした。参加して感じたことを、記録としてまとめます。
医工連携フォーラムとは(医療×工学が交わる場所)
医工連携とは、医師や医療者の課題を出発点に、工学・材料・デバイス・解析など多分野の力を掛け合わせて解決を目指す取り組みです。
医療の進歩は「医師の技術だけ」では進みません。
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工学の技術(設計・計測・制御)
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材料の進化(生体適合・耐久性・加工性)
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デバイス開発(センサー・装置)
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データ解析(画像・数値・AI)
こうした要素が交わることで、初めて実用化の可能性が見えてくる。
フォーラムの空気を肌で感じて、改めてその現実味を実感しました。
基調講演で印象に残ったこと(成功と失敗の“率直さ”)
基調講演では、臓器機械灌流保存技術と、産学医工連携における成功・失敗について語られていました。
印象的だったのは、結果の話以上に「そこに至るまでの困難」を隠さず話してくださったことです。
研究は、一直線には進みません。
技術の壁だけでなく、連携の難しさ(役割分担、意思決定、スピード感、言葉の違い)が必ず立ちはだかる。
それでも前に進むためには、相手分野を“理解しようとする姿勢”が土台になるのだと感じました。
医工連携は、結局のところ「人と人」。
技術と同じくらい、関係づくりが重要だというメッセージとして受け取りました。
研究プロジェクト紹介で感じた“問いの強さ”
プロジェクト紹介では、たとえば以下のようなテーマが発表されていました。
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経頭蓋直流電気刺激(tDCS):弱い電流で脳機能にアプローチする研究
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組織透明化技術とイメージング:体内構造をより見やすくする技術
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腎臓の3次元イメージング:立体的に可視化し、理解や診断へつなげる
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被災地医療支援への工学的アプローチ:現場の制約下でどう支えるか
内容は多岐にわたりますが、共通していたのは
「目の前の課題をどう解決するか」という“問い”が強いこと。
研究は、アイデアだけでは続きません。
現場の困りごとに対して、何度も仮説を立て、検証し、やり直し、改良していく。
その粘り強さこそが、医療を前に進める力だと感じました。
ものづくりの現場にいる自分にとっての医工連携
私は、エピテーゼやサージカルガイドを通じて「医療の現場」と「ものづくりの現場」をつなぐ仕事をしています。
現場で起きる課題は、必ずしも“医療の専門知識だけ”で解決できるものではありません。
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どう設計すれば、扱いやすくなるか
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どう材料を選べば、負担が減るか
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どう作れば、再現性が上がるか
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どうデータ化すれば、再製作や改善につながるか
こうした問いは、医工連携そのものです。
今回のフォーラムで、研究者の方々が持つ視点や熱量に触れ、自分の仕事の延長線にも確かに未来があると感じました。
学び続けるということ
参加して一番強く残ったのは、
「学び続けることが次の発想を連れてくる」という感覚です。
年齢や立場に関係なく、知らない分野に触れる。
言葉の違いを越えて、考え方の違いを知る。
それが、ものづくりの引き出しを増やし、現場の課題解決の速度を変えていく。
医療も工学も、そしてものづくりも、完成することはありません。
常に更新される世界です。
その流れの中で、自分は何を深め、どう活かすのか。
改めて考えるきっかけをいただいた、有意義な一日でした。
学びを止めない。
それが未来への投資なのだと、強く感じています。
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