“ちゃん付け”で呼ぶということ — 信頼と距離感のあいだで

日々の何気ない呼び方ひとつにも、信頼や思いやりが隠れています。
今回は「社員を“ちゃん付け”で呼ぶ」ことをきっかけに、職場での言葉の温度や距離感について考えてみました。

先日、ある新聞記事の見出しに目が止まりました。

「社員を“ちゃん付け”で呼んでいた上司に対し、セクハラとして損害賠償命令」

というニュースです。

私は普段、社内で社員を親しみを込めて「○○ちゃん」と呼ぶことがあります。
それは決して軽んじるつもりでも、距離を詰めすぎる意図でもなく、
“家族のような信頼関係を築きたい”という気持ちから生まれたものです。

しかし今回の記事を読んで、ふと立ち止まりました。
「もしかしたら、自分の呼び方が誰かを不快にしているかもしれない」と。

🔎 社員に率直に聞いてみた

翌日の朝礼で、私はこの話を正直に社員に共有しました。
そして、こう問いかけてみました。

「普段、私は“ちゃん”付けで呼んでいますが、不快に感じている方がいれば遠慮なく教えてください。」

結果としては、誰一人“不快”と感じている方はいませんでした。
むしろ、「親しみを感じてうれしいです」と言ってくれる社員もいて、
ほっと胸をなで下ろしました。

とはいえ、それは“今の社内の雰囲気”だからこそ受け入れられているのかもしれません。
時代や立場、関係性が変われば、同じ言葉が“ハラスメント”と受け取られる可能性もあります。

💡 呼び方は「関係性」があってこそ

呼び方というのは、単なる言葉の問題ではなく、
その人との関係性や信頼の積み重ねがあってこそ成立するもの。

たとえ同じ言葉を使っても、そこにある“想い”や“温度感”が伝わらなければ、
誤解を招くこともあります。

私たちの仕事は、人の身体や心に寄り添う医療補綴。
だからこそ、「気遣い」や「思いやり」を職場の中でも大切にしていきたいと感じました。

🧭 今後の方針として

今回の話し合いを経て、当面はこれまでどおり「ちゃん付け」を続けていくことにしました。
ただし、次の3点を新しいルールとして意識していきます。

  • 相手が望まないと感じたら、すぐに呼び方を変える

  • 公の場では、肩書き・苗字で呼ぶことを基本にする

  • 新しく入社された方には、しばらく様子を見てから距離感をはかる

こうした一つ一つの気遣いが、信頼を築くうえで何より大切だと思います。

🌱 言葉の温度を見直すきっかけに

日々の何気ない言葉や行動が、時として誰かの心を傷つけてしまうこともある時代。
でも同時に、言葉を通じて温かい空気をつくることもできる。

今回のように、普段は当たり前にしていることを改めて見直す時間を持てたことは、
私自身にとっても、そしてチームにとってもとても良いきっかけになりました。

✨ おわりに

「ちゃん付け」ひとつをとっても、時代や環境によって正解は変わります。
大切なのは、相手を想う気持ちと、話し合える風土

これからも「綴」(つづる)では、お客様に寄り添った補綴技術の提供とともに、
働く人にもやさしい職場づくりを目指していきます。

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すぎちゃん

杉本 雄二(すぎもと・ゆうじ)プロフィール
エピテーゼサロン綴 代表。
歯科技工士/日本歯科技工学会 評議員/技工士教育・研究開発にも精力的に取り組む。
1984年に富山歯科総合学院 歯科技工士科を卒業後、石川県立中央病院 歯科口腔外科に勤務。
1994年に歯科技工所「デントニウム」を開設、2003年には法人化。
以来、歯科技工だけでなく、再建医療・審美分野への応用技術に取り組み、
人工乳房・耳・指などのエピテーゼ製作やカスタム手術ガイドの開発も行っている。
■ 主な役職歴
• 2014〜2020年:石川県歯科技工士会 会長
• 2022年〜:石川県歯科技工士連盟 会長
• 日本歯科技工学会 評議員
• 第41回日本歯科技工学会 準備委員長
• 2016〜2018年:日本歯科技工士連盟 理事
■ 海外発表・国際活動
• 2013年:国際歯科技工学会(韓国)にて発表
• 2017年:ベトナム国際セミナー「歯科医療に貢献する歯科技工」参加
• 2018年:アメリカ審美学会(AEED)にて発表
• 2019年:台湾・台南歯科医師会総会に招待参加
• 2025年:国際歯科技工学会 ポスター発表(優秀賞受賞)
■ 特許・共同研究実績
• 2011年:歯科用インプラントに用いるジグ(特許取得)
• 2022年:指エピテーゼの関節機能に関する共同研究(国立石川高専)
• 2024年:人工乳房の開発(金沢工業大学と共同研究)
• 2024年:口唇口蓋裂患者向け、ホッツ床とエピテーゼ一体型新技術の開発
________________________________________
「医療技術と美しさの両立」を目指して、患者一人ひとりのQOL向上に寄与する技工を日々探求中。
現在は、技工と形成外科・再建医療の融合分野にも取り組みながら、
後進育成や地域の医療連携にも力を注いでいる。

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