先週、がんの治療により摘出した組織のあとにできていた欠損部を塞ぐためのエピテーゼが、無事に装着できました。
この日を迎えられたことに、まずはほっとしています。
この記事でいうエピテーゼとは、病気や手術などによって失われた体の一部を補うための人工補綴物のことです。
見た目を整えるだけでなく、部位によっては日常生活のしやすさにも関わる大切な役割を持っています。
↓頬エピテーゼ

この記事でわかること
- 今回のエピテーゼ装着の概要
- 装着に立ち会って感じたこと
- 見た目だけではないエピテーゼの役割
- 病院関係者の反応から見えたこと
- 今後の製作や支援につながる学び
装着の日に立ち会ってきました
今回のエピテーゼ製作は、綴のスタッフが中心となって進めてきました。
私は社長として、納品・装着の日に現場へ同行し、実際に装着される様子を確認してきました。
製作そのものはスタッフが担っていますが、完成したものが医療現場でどのように装着され、どのように評価されるのかを確認することは、今後の製作や改善においてとても大切なことだと感じています。
当日はご家族の同席はなく、病院関係者の皆さまと連携しながら、落ち着いた雰囲気の中で進みました。
こうした場面では、ご本人の負担にならないよう、必要な確認を丁寧に行うことの大切さを改めて感じます。
見た目を整えることの意味
エピテーゼというと、「見た目を整えるもの」という印象を持たれる方が多いかもしれません。
もちろんそれは大切な役割の一つです。
実際に装着された状態を見ると、欠損部が補われることで外観の印象が大きく変わることがわかります。
病院関係者の方からも、
「自然ですね」
「落ち着いた見え方になりましたね」
といった反応があり、装着後の状態が安定していることを確認することができました。
私たちは普段の生活の中で、自分の見た目を無意識のうちに受け止めています。
だからこそ、その一部が変わるということは、想像以上に日常へ影響を及ぼすことがあります。
エピテーゼによって自然な印象を取り戻すことには、見た目以上の意味があるのだと思います。
機能面でも大きな役割がありました
今回、特に大きいと感じたのは、見た目だけでなく機能面にも関わっていたことです。
欠損部があることで、会話の際に空気が漏れてしまい、発音しにくさや話しづらさにつながることがあります。
こうしたことは周囲からは見えにくいものですが、ご本人にとっては日常生活の中で大きな負担になる場合があります。
本来、エピテーゼは機能を持たないものではありますが
今回は装着したことで、その空気漏れが改善されることが期待される状態となりました。
病院関係者の方からも、
「空気漏れが軽減しているようですね」
「発音の助けにもなりそうですね」
といった趣旨のお話があり、見た目だけではない役割の大きさを改めて感じました。
「話せる」ということは、生活の質に直結します。
家族や周囲の方との会話、病院でのやりとり、日常の何気ない受け答え。
そうした一つひとつの積み重ねが、その方の安心感や暮らしやすさにつながっていくのだと思います。
病院関係者の反応から感じたこと
今回の装着では、ご本人から特別なご要望や感想を直接いただいたわけではありません。
そのため、現場で印象に残ったのは、主に病院関係者の皆さまの反応でした。
医療の現場では、ただ「つけられた」というだけではなく、
・装着状態が安定しているか
・外観として自然に見えるか
・機能面にどのような変化があるか
といった点が大切に見られます。
その中で、今回の装着について前向きな反応をいただけたことは、私たちにとっても大きな学びとなりました。
製作側だけの視点では見えにくい評価ポイントを知ることで、今後さらによいものづくりにつなげていけると感じています。
納品・装着の場に立ち会う意味
私は普段、経営の立場として現場を見ることが多いですが、やはり実際の納品や装着の場に立ち会うことで得られる学びは大きいと感じます。
完成したエピテーゼが医療現場でどのように受け止められるのか。
どこが評価され、どこに配慮が必要なのか。
そうしたことは、実際の場に足を運ばなければ分からないことも少なくありません。
製作者が心を込めて作ったものが、現場でどのように役立つのかを確認し、それをまた社内へ持ち帰って共有する。
この積み重ねが、よりよい製作と支援につながっていくのだと思います。
エピテーゼは生活を支える選択肢のひとつ
エピテーゼは、まだ広く知られているものではありません。
ですが、必要とされる方にとっては、生活を支える大切な選択肢のひとつです。
見た目の補完だけでなく、部位によっては会話や日常生活のしやすさにも関わることがあります。
今回の装着を通して、医療と技術の力で、その方の日常を少しでも支えることができる仕事なのだと、改めて感じました。
おわりに
今回、無事に装着の日を迎えられたことに、まずは安心しています。
そして、現場で確認できたことや病院関係者の皆さまからの反応は、今後のものづくりにとっても大切な経験となりました。
これからもスタッフと連携を取りながら、一つひとつの症例に丁寧に向き合い、必要とされる方のお力になれるよう努めていきたいと思います。
今回の装着も、そのための大切な一歩になりました。
