日本緩和医療学会 第8回東海・北陸支部学術大会へ 〜学びと出会い、そしてものづくりへの気づき〜
10月3日(土)、日本緩和医療学会 第8回東海・北陸支部学術大会に、企業展示として参加させていただきました。
学会や学術大会に参加すると、毎回さまざまな学びがあります。
新しい知識に触れることはもちろんですが、実際に患者さんと接している医師や看護師、医療関係者の皆さまとお話しすることで、普段の仕事だけでは気づけない課題や、これから私たちにできることが見えてくることがあります。
そして今回は、医療関係者の皆さまとの交流だけでなく、企業展示で偶然お隣になった企業の方との新しい出会いからも、大切な気づきをいただきました。
学会は「知識を得る場所」であると同時に、人と人がつながり、新しい考えが生まれる場所なのだと改めて感じた一日でした。
この記事でお伝えしたいこと
- 日本緩和医療学会 第8回東海・北陸支部学術大会に企業展示として参加したこと
- 緩和医療とエピテーゼとの関わりについて
- 医療関係者へ「エピテーゼという選択肢」を知っていただく大切さ
- 企業展示で生まれたチタニストラボラトリーズさんとのご縁
- いただいた靴下を実際に使って感じた、ものづくりの基本
- 学びと出会いを、今後の仕事や研究につなげていきたいという思い
緩和医療は「痛みを和らげること」だけではありません
「緩和医療」と聞くと、痛みを和らげるための医療というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、患者さんが病気や治療によって抱えるつらさは、痛みだけではありません。
身体的な苦痛だけでなく、不安や孤独、生活上の困りごと、社会との関わり、そして外見の変化など、その方の生活全体にさまざまな影響が生じることがあります。
例えば、病気や事故、治療などによって、身体の一部を失うことがあります。
乳房。
耳。
鼻。
指。
顔の一部。
そうした身体の変化は、単に「見た目が変わった」ということだけではありません。
外出すること。
人と会うこと。
仕事へ戻ること。
好きな洋服を着ること。
家族や友人と出かけること。
これまで当たり前だった日常に、不安や戸惑いが生まれることがあります。
エピテーゼも「その人らしい生活」を支える一つの選択肢
私たちは、エピテーゼや人工乳房などの製作を通して、身体や外見の変化に悩まれている方のお手伝いをしています。
エピテーゼというと、失われた身体の一部を人工的に補い、「見た目を元に戻すもの」と思われることがあります。
もちろん、外見を自然に整えることは大切な役割の一つです。
しかし、私たちはそれだけではないと考えています。
エピテーゼを装着することで、
「人の目を少し気にせずに外へ出られるようになった」
「以前のような服装を楽しめるようになった」
「仕事へ戻るきっかけになった」
そうした変化につながることがあります。
つまりエピテーゼは、身体の一部を補う製品であると同時に、その方が自分らしい生活へ戻っていくための選択肢の一つでもあるのだと思います。
まず「知っていただくこと」が、患者さんへの支援につながる
今回、企業展示として学術大会に参加した大きな目的の一つは、医師や看護師をはじめ、緩和医療に携わる医療関係者の皆さまに、エピテーゼについて知っていただくことでした。

日本緩和医療学会 第8回東海・北陸支部学術大会での企業展示。人工乳房やシリコーンパッド、耳・指などのエピテーゼをご紹介しました。
どれだけ良い製品や技術があったとしても、それを必要としている方に情報が届かなければ、選択肢にはなりません。
患者さん自身がインターネットなどで探し、エピテーゼへたどり着く場合もあります。
しかし、治療中や治療直後は、身体的にも精神的にも余裕がないことがあります。
そんなとき、日頃から患者さんと接している医療関係者の方から、
「こういう方法もありますよ」
「必要であれば、こうした相談先がありますよ」
と一言伝えていただけることが、大きなきっかけになります。
そのためにも、まず医療関係者の皆さまに「エピテーゼという選択肢がある」ということを知っていただくことが、とても大切だと考えています。
展示するだけではなく、「現場の声を聞く」機会
企業展示というと、自社の製品を並べて説明する場所というイメージがあるかもしれません。
もちろん、製品や取り組みについて知っていただくことは大切です。
しかし、私たちにとっては、それだけではありません。
実際に患者さんと接している医療関係者の皆さまから、現場のお話を聞くことができる貴重な機会でもあります。
「患者さんは、どんなところで困っているのか」
「今、どのような支援が求められているのか」
「こんなものがあれば役に立つのではないか」
そうしたお話の中には、私たちの次のものづくりにつながるヒントがたくさんあります。
製作者だけで考えていると、どうしても「作る側の視点」になりがちです。
しかし、実際に使う方の生活や、その方に接する医療関係者の視点を知ることで、初めて見えてくることがあります。
展示を通じて知っていただく。
こちらも教えていただく。
その双方向のやり取りが、学会に参加する大きな意味の一つだと思っています。
学会だからこそ生まれる、企業同士のご縁
そして今回、もう一つ印象に残ったのが、出展者同士の交流でした。
私たちのブースのお隣に出展されていたのが、チタニストラボラトリーズさんです。
学会会場では、開場前や少し落ち着いた時間などに、隣のブースの方と自然にお話をすることがあります。
今回も、チタニストラボラトリーズの社長さんといろいろなお話をさせていただきました。
仕事のこと。
製品のこと。
ものづくりのこと。
普段はなかなか接点のない業種の方でも、話をしてみると、共通している考え方や興味深い取り組みがたくさんあります。
そして、そのご縁から、ご厚意で抗菌・防臭機能をうたった靴下をいただきました。
ありがとうございました。
せっかくなので、ゴルフで実際に使ってみました
商品をいただいたからには、やはり実際に使ってみたい。
そこで早速、ゴルフへ行く際に履いてみることにしました。

学会でいただいた靴下を、早速ゴルフで使用してみました。
ゴルフは見た目以上に長時間歩きます。
コースによってはアップダウンもありますし、一日を通してかなりの距離を歩きます。
当然、足にも負担がかかります。
また、季節によってはかなり汗もかきます。
そのため、靴はもちろんですが、実は靴下の履き心地も意外と大切です。
ずれたり、締め付けが強すぎたり、足に違和感があったりすると、それだけでもプレー中に気になってしまいます。
実際に履いて一日過ごしてみると、まず感じたのは、靴下そのものがしっかりとした作りだったことでした。
長時間履いていても特に気になる違和感もなく、ゴルフのプレーにも問題なく使用することができました。
「抗菌・防臭」という特徴に目が行きやすい商品ですが、実際に使ってみると、その機能だけではなく、日常的に使う製品としての履き心地や使いやすさも大切なのだと感じました。
良い機能だけでは、良い製品にはならない
今回、靴下を実際に使ってみて、ふと自分たちのものづくりにも通じるものがあると感じました。
機能性のある製品を見ると、どうしても、
「どんな機能があるのか」
「どんな効果が期待されているのか」
という部分に注目します。
しかし、毎日使う製品であれば、それだけでは十分ではありません。
使いやすいか。
長時間使っても負担にならないか。
違和感がないか。
丈夫か。
日常生活の中で無理なく使い続けられるか。
こうした基本的な部分があってこそ、機能が生きてくるのだと思います。
「良い機能があって、なおかつ使いやすい。」
言葉にすると当たり前のことですが、ものづくりをしていると、とても大切な考え方です。
これは、エピテーゼにもまったく同じことが言えます
私たちが製作しているエピテーゼも同じです。
どれだけ本物に近い形に作れても、実際に使用する方にとって使いにくければ意味がありません。
見た目が自然であること。
装着しやすいこと。
長時間使用したときに負担が少ないこと。
日常生活の中で扱いやすいこと。
必要に応じてメンテナンスしやすいこと。
こうしたことを総合的に考える必要があります。
人工乳房についても、単に形が整っていればよいわけではありません。
柔らかさ。
重さ。
肌へのなじみ方。
衣服を着たときのバランス。
そして、ご本人が日常生活の中で無理なく使えること。
製品として大切なのは、カタログに書かれている特徴だけではありません。
実際に使う人の生活の中で、その製品がどう感じられるか。
そこまで考えることが、ものづくりでは大切なのだと改めて感じました。
違う業界の製品だからこそ気づくこともある
自分と同じ分野の製品を見ることはもちろん勉強になります。
しかし、まったく違う業種の製品を使ったり、つくっている方のお話を聞いたりすることから得られる気づきもあります。
今回でいえば、靴下とエピテーゼはまったく違う製品です。
しかし、
「誰が使うのか」
「どんな場面で使うのか」
「長時間使用したときにどう感じるのか」
「特徴を実際の使いやすさへどうつなげるか」
というものづくりの基本的な考え方には、共通する部分があります。
こういう発見があるから、異なる分野の方と話すことは面白いのだと思います。
大学院での学びと、現場での経験
先日、私は富山大学大学院への入学という新しいスタートを切りました。
大学院では、これまで現場で経験してきたことを、今度は研究という視点から見つめ直していきたいと思っています。
一方で、今回のような学会や学術大会に参加すると、研究や文献だけでは得ることのできない「現場からの学び」も非常に大切だと感じます。
医療関係者の声。
患者さんが抱えている困りごと。
他企業の取り組み。
製品を実際に使ったときの感覚。
そして、人との何気ない会話。
それぞれは小さな出来事かもしれません。
しかし、そうした一つひとつの経験がつながることで、新しい発想や研究テーマ、ものづくりの改善につながることがあります。
「学ぶこと」と「人とつながること」
今回の学術大会を通して、改めて感じたことがあります。
それは、
「学ぶことと、人とつながることは、とても近いところにある」
ということです。
一人で本を読んで学ぶこともできます。
研究論文から新しい知識を得ることもできます。
しかし、人と話すことで初めて知ることがあります。
自分とは違う仕事をしている人から、思いもよらないヒントをもらうことがあります。
そして、偶然の出会いが、後になって大きなつながりになることもあります。
今回も、企業展示でたまたま隣になったことがきっかけでした。
もしブースの場所が違っていたら、ゆっくりお話をする機会はなかったかもしれません。
そう考えると、人とのご縁というものは面白いものですね。
一つひとつのご縁を、次につなげていきたい
学会に参加する一番の目的は、もちろん専門的な知識を学び、私たちの取り組みを知っていただくことです。
しかし、今回のような出会いもまた、学会に参加する大きな価値の一つだと思います。
医療関係者の方との出会い。
企業の方との出会い。
初めてエピテーゼを知ってくださった方との出会い。
そして、そこから始まる会話。
そうした一つひとつを大切にすることが、いつか患者さんへのより良い支援や、新しい製品、新しい活動へとつながっていくかもしれません。
おわりに 〜学会で得たものを、明日からの仕事へ〜
日本緩和医療学会 第8回東海・北陸支部学術大会への企業展示を通して、今回も多くのことを学ばせていただきました。
緩和医療に携わる医療関係者の皆さまに、エピテーゼや人工乳房という選択肢を知っていただくこと。
そして実際の現場の声を伺い、今後の支援や製品づくりについて考えること。
さらに今回は、企業展示でお隣になったチタニストラボラトリーズさんとの新しいご縁も生まれました。
いただいた靴下を実際にゴルフで使用してみたことで、
「機能だけではなく、実際に使う人にとって使いやすいことが大切」
という、ものづくりの基本を改めて考えるきっかけにもなりました。
チタニストラボラトリーズの社長さん、このたびは素敵な靴下をありがとうございました。
早速、ゴルフでしっかり活用させていただきました。
大学院での研究。
学会での学び。
日々の仕事。
そして、人との出会い。
一見すると別々の出来事のようですが、私の中では少しずつつながっているように感じます。
これまで現場で積み重ねてきた経験に、新しい知識や研究の視点、そしてさまざまな方からいただく気づきを加えながら、これからもより良いものづくりと支援につなげていきたいと思います。
学ぶことを止めない。
人とのご縁を大切にする。
そして、そこで得たものを自分の中だけで終わらせず、次の仕事へ生かしていく。
今回の学術大会も、そんなことを改めて感じる貴重な機会となりました。
