エピテーゼの難しさ 〜イメージをどう伝えるか〜
鼻のエピテーゼについてご相談を希望されるご夫婦が来られました。
はじめに、エピテーゼとは何か、どのような流れで製作するのか、装着やお手入れはどうするのか…といった基本的なお話をさせていただきました。
その中で、改めて強く感じたことがあります。
それは、「完成後のイメージをお伝えすることの難しさ」です。
この記事でわかること
- エピテーゼ(人工鼻など)とは何かを、初めての方にも分かりやすく
- 鼻のエピテーゼはなぜ“人によって仕上がりが変わる”のか
- 相談段階で「完成形」を伝えにくい理由
- 不安を減らすために、今後取り入れたい工夫
そもそも「エピテーゼ」とは?
エピテーゼとは、病気や事故、先天的な理由などで失われた体の一部(鼻・耳・指など)を、シリコーンなどの素材で補う人工補装具のことです。
「義鼻(ぎび)」「人工鼻」「義耳(ぎじ)」「人工耳」などと呼ばれることもあります。
見た目を整える目的が大きいのはもちろんですが、部位によっては生活のしやすさや人と会う時の安心感につながることもあり、必要とされる方にとっては大切な選択肢のひとつになります。
ただし、エピテーゼは既製品のように「これを付ければ終わり」ではありません。
欠損の状態や皮膚の質感、色、固定方法などに合わせて、一人ひとりに合わせて作るオーダーメイドです。
ここに、エピテーゼならではの難しさと、同時に価値があります。
同じ「鼻」でも、条件が一つとして同じではない
エピテーゼは、一人ひとり欠損の状態が異なります。
同じ鼻のエピテーゼであっても、
- 欠損の範囲(どこまで失われているか)
- 周囲の組織の状態(瘢痕・凹凸・皮膚の張りなど)
- 皮膚の色調(明るさ・赤み・血管の透け感など)
- 固定方法(接着・眼鏡・磁石など、適応やご希望)
- 日常生活の場面(仕事・外出・運動・マスクの有無など)
こうした条件によって、製作方法も仕上がりも変わってきます。
「同じものを作る」ではなく、その方の顔立ちと生活に合わせて“自然さ”を作る。
そのため、写真や言葉だけでは、なかなか具体的な完成イメージをお伝えしきれないのが現実です。
相談に来られる方の気持ちと、私たちのジレンマ
相談に来られた方は、当然ながら
「自分の場合、どんなふうになるのかを知りたい」
と思って来られています。
もちろん過去の症例写真をご覧いただくことはできます。
ただ、症例写真を見ても最終的には、
「自分の場合はどうなるのだろう?」
という疑問が残ります。
一方で私たちは、
「実際に型取りやスキャニングをして、欠損部の状態を詳しく確認してみないと、正確な完成像はお伝えできない」
という状況があります。
つまり、相談段階で知りたいこと(完成のイメージ)と、私たちが確実に言える段階(計測後)の間に、どうしてもギャップが生まれます。
ここに、エピテーゼの“相談の難しさ”があると感じています。
「伝える技術」も磨かなければならない
エピテーゼは、製作技術だけで完成するものではありません。
相談の段階で不安を減らし、安心して一歩を踏み出していただくには、完成イメージを分かりやすく伝える工夫が必要です。
最近、特に感じているのは、相談の段階で、もっと分かりやすく完成イメージをお伝えする方法はないだろうか、ということです。
例えば、
- 3Dスキャンデータを利用したシミュレーション
- CGによる完成予測イメージ
- 症例のタイプ別(欠損範囲別)の説明資料
- AIを活用した“完成の雰囲気”のイメージ画像作成
こうした方法も、今後の可能性として考えられるかもしれません。
技術は日々進歩しています。
エピテーゼそのものの精度を高めることはもちろん大切ですが、それと同じくらい、
患者さんの不安を減らし、安心して相談していただける環境を作ること
も重要なのだと思います。
おわりに
今回のご相談を通じて、製作技術だけでなく「伝える技術」も磨いていかなければならないと改めて感じました。
患者さんが完成後の自分を少しでもイメージできるように。
そして安心して一歩を踏み出していただけるように。
これからも工夫を重ねていきたいと思います。
鼻のエピテーゼに限らず、耳・指などのエピテーゼについても、まずは「話だけ聞いてみたい」という段階でもご相談いただけます。
ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご連絡ください。
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