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コツコツ続けることの意味
2026年2月15日(日)に開催された「日本臨床歯科学会技工士セッション・北陸支部」に参加してきました。
日々の業務から少し離れ、
改めて自分の仕事や技術について考える時間というのは、
やはり大切なものだと感じます。
今回のセミナーも非常に学びの多い内容でしたが、
その中で特に心に残った言葉がありました。
それは――
「一つのことを地道に続けることが何より大切」
という言葉です。
一見すると当たり前のように聞こえるこの言葉。
しかし、長くこの仕事に携わってきた今だからこそ、
改めて深く胸に響くものがありました。
■ 技術の世界に近道はない
歯科技工の世界は、
年々進化を続けています。
新しい材料
新しい機器
そしてデジタル技術。
時代の変化とともに、
仕事の環境も大きく変わってきました。
もちろん、これらの進化は非常に重要です。
私たちの仕事の幅や可能性を広げてくれる、
大切な要素でもあります。
しかし――
どれだけ時代が変わっても、
どれだけ技術が進歩しても、
最終的にものづくりを支えるのは
「日々の積み重ね」
であることに変わりはありません。
派手なテクニックや特別な裏技があるように見えても、
その土台には必ず、地道な努力があります。
やはり王道は、
コツコツと続けること。
この当たり前の事実を、
改めて強く実感させられました。
■ 歯科技工士は芸術家に近いが、芸術家ではない
もう一つ、印象的な言葉がありました。
「歯科技工士の仕事は芸術家に近い仕事であるが、芸術家ではない」
非常に的確な表現だと思います。
私たちの仕事は
・形態
・色調
・質感
を再現するという意味では、
確かに芸術的な要素を多く含んでいます。
しかし、決定的に違う点があります。
それは――
目的が自己表現ではないということ。
芸術家は、自分の感性や思想を形にします。
一方、歯科技工士は
「自然であること」
「違和感がないこと」
を追求します。
天然歯と見間違えるような補綴物。
口腔内で自然に調和する形態。
機能的に問題なく働く精度。
そこに求められるのは、
自己主張ではなく「再現力」です。
この考え方は、
エピテーゼ製作においてもまったく同じだと感じます。
目立たないこと。
自然であること。
それこそが、
私たちの仕事の本質なのかもしれません。
■ 石膏カービングは決して無駄ではない
新入社員には、毎日石膏カービングを行ってもらっています。
この練習は
非常に地味で単調に見える作業です。
毎日同じような工程。
目に見える成果も分かりにくい。
正直なところ
「いつまで続くのだろう」
「本当に意味があるのだろうか」
そう感じる日もあるかもしれません。
しかし、私はこの練習を非常に重要だと考えています。
なぜなら――
すべての技術の土台になるからです。
石膏カービングによって養われるのは、
✔ 歯の形態理解
✔ 面の捉え方
✔ バランス感覚
✔ 微細なコントロール力
これらはどんな仕事においても必要になる
「本質的な技術」です。
デジタル技術が進化した現代でも、
形態の理解は人間の目と感覚に依存します。
どれだけ機械が精密でも
どれだけソフトが優秀でも
最終的な判断を行うのは人間です。
今日削った一本の石膏。
その一本が、
・数年後のセラミッククラウン
・高精度な補綴物
・エピテーゼの完成度
を左右する可能性は十分にあります。
だからこそ
日々の積み重ねは決して無駄にならない。
そう信じています。
■ 続けることが最も難しい
「コツコツ続けること」
言葉にすると簡単ですが、
実際には非常に難しいものです。
人はどうしても、
✔ 早く結果を求める
✔ 劇的な変化を期待する
✔ 効率や近道を探す
そうした思考に傾きがちです。
しかし技術の世界では
劇的な成長はほとんどありません。
ゆっくりと
気づかないほど少しずつ
確実に積み上がっていくものです。
そして、
この「変化の見えにくさ」こそが
継続を難しくしている要因でもあります。
■ 地味な努力の価値
基礎練習は
派手さがありません。
評価されにくく
成果も分かりにくい。
しかし――
地味な努力こそが、最終的な差を生みます。
技術の差は
センスよりも継続力。
才能よりも積み重ね。
長年この仕事を続けてきた中で
何度もその現実を見てきました。
■ まとめ|原点に立ち返る時間
今回のセミナーを通して
改めて自分の仕事の原点を見つめ直すことができました。
✔ なぜこの仕事を選んだのか
✔ 何を大切にしてきたのか
✔ 技術とは何か
こうしたことを考える時間は、
日々の忙しさの中では意外と少ないものです。
私自身ももう一度初心に戻り
派手さではなく、積み重ねを。
特別な近道ではなく、王道を。
そんな姿勢を大切にしていきたいと思います。
技術の世界において、
コツコツ続ける努力は決して裏切りません。
